住居確保給付金とは?ひとり親家庭でも適応できるの?

  • 2017/7/5

皆さん、「住居確保給付金」という支援制度を知っていますか?
平成27年4月から始まった、生活困窮者向けの支援制度です。

これは、ひとり親家庭に向けた制度とは異なるものです。
もともとひとり親家庭のための住宅補助制度は、それぞれの市町村が各自で支援していました。
しかし、各自治体によって、その負担する金額や条件はまちまち。
その支援自体がない市町村も多く、困っていても支援を受けられないお父さんお母さんも多かったのではないでしょうか。

人が基本的な生活をするために必要な衣食住の一つである住まいですが、衣類や食費と違って、切り詰めることがむずかしく、毎月必ず捻出しなくてはいけない固定費です。
「家庭の事情でどうしても捻出できない。でも、自分の住む市町村には住宅の支援制度がない……」
そんなひとり親の家庭にも条件によっては支援を受けられるのが、「住居確保給付金」です。

どんな人が、どのように申請して支援を受けられるのでしょうか。
詳しく見て行きましょう。

1.どんな人が受けられるの?
「住居確保給付金」は、働きたいのに働けない人のために作られた支援制度です。
衣食住の中でも要となる住まいを支援することで、求職者が安心して就職活動に取り組めるようサポートすることを目的とします。

それまで一家の主として、世帯の生計のメインの収入を得ていた人が、急な離職などで経済的に困っている人が対象です。
住まいを失った人や、そのおそれがある人(実際に家賃を滞納している状態かどうかは問われません)に対して安定した住居の確保と就労の手助けをします。

では、対象となる詳しい条件はどのようなものでしょうか。

支給対象者
○ 申請日において65歳未満であって、離職等後2年以内の者
○ 離職等の前に世帯の生計を主として維持していたこと
○ ハローワークに求職の申し込みをしていること
○ 国の雇用施策による給付等を受けていないこと
H27.9.14 生活困窮者自立支援制度
全国担当者会議 資料3「住居確保給付金について」より引用”

ここであげられるポイントは、
「離職等の前に世帯の生計を主として維持していた」
「ハローワークに求職の申し込みをしている」

この二つが重要となってきます。

生活保護やひとり親だけの対象の支援政策ではなく、働ける意欲や環境が整っている人に対しての支援なので、傷病によりすぐに働ける状態ではない人は、残念ながら条件から外れてしまいます。

また、ひとり親の方は生計の主として働いている方がほとんどだと思いますが、例えば離婚して、ご両親と一緒に住んでいて親の扶養に入っている場合、また世帯分離をしていない場合、世帯分離をしていても一つ同じ屋根の下で一緒に住んでいる場合は該当しない可能性があります。
それまで専業主婦(夫)だった人が離婚し、新しく求職する場合も、生計の主という実績がないので該当するか判断しかねるところですが、まずは窓口に相談して確認しましょう。

それでは、どんな人が条件に当てはまるのでしょうか。

例えば、離婚してひとり親として子供と暮らし、世帯の収入を担っていた人が急な解雇や離職により安定した収入を得られなくなり、賃貸の支払いに困っている人。
こんなケースに当たる人が対象となります。

2.該当する具体的な収入や預貯金額について
では、どの位の収入や貯金がある人が受けられるのかをもう少し掘り下げて見てみましょう。
詳しい支給要件はこのようになります。

支給要件
①収入要件:
 申請月の世帯収入合計額が、基準額(市町村民税均等割が非課税となる収入額の1/12)
 +家賃額以下であること。家賃額は、住宅扶助特別基準額が上限。
(東京都1級地の場合)単身世帯:13.8万円、2人世帯:19.4万円、3人世帯:24.1万円
②資産要件:申請時の世帯の預貯金合計額が、基準額×6(ただし100万円を超えない額)以下であること。
(東京都1級地の場合)単身世帯:50.4万円、2人世帯:78万円、3人世帯:100万円
③就職活動要件:ハローワークでの月2回以上の職業相談、自治体での月4回以上の面接支援等”

ハローワークで職業相談や自治体での月4回以上の面接支援が要件となりますが、その人の生活環境にあった相談も乗ってもらえますので、腰をすえて求職活動ができる、ありがたい支援だと言えるでしょう。

3.どのくらいの給付金を受け取れるの?
要件を満たした人は、次のような給付金を受け取れます。

支給額
賃貸住宅の家賃額(上限額は住宅扶助特別基準額)(東京都1級地の場合 単身世帯:53,700円、2人世帯:64,000円)
支給期間 原則3か月間(就職活動を誠実に行っている場合は3か月延長可能 ※最長9か月まで)

 

4.「住居確保給付金」と合わせて知っておきたい支援事業
家賃の一部を補助する「住居確保給付金」の他に、生活困窮者自立支援制度には、次の様な支援や相談を行っています。
合わせて知っておくと、いざという時に心強いですね。

・自立相談支援事業
・就労準備支援事業
・家計相談支援事業
・就労訓練事業
・生活困窮世帯の子どもの学習支援
・一時生活支援事業

5.まとめ
「住居確保給付金」は、働く意欲や準備をしているのに、すぐに職に就けない人が、住まいを確保することで安心して就職活動ができるように支援するものです。

現在、一家の主として生計を担っているお父さん、お母さん方も、「もし、現在の仕事を予期せぬ形で失ってしまったらどうしよう」と不安を抱えている方も多いのではないのでしょうか。
もし、急に仕事を失って、すぐに次の職に就けない場合、貯蓄から生活費を補填して何か月維持できるでしょうか。
「数か月から半年が限界!」という方も多いと思います。

お金の心配は、健康な心身に深刻な影響を及ぼします。
生活費の工面が気になって、安易に目先の仕事に飛びついたり、職探しに正常な判断ができず、その結果またすぐに離職することになってしまうという悪循環におちいることもあります。
この「住居確保給付金」は、就労意欲のある人が生活を立て直し、再び困窮状態になることへの予防も兼ねている支援です。
負のスパイラルに陥らないよう、上手に利用してもらうことも目的の一つです。
安定や条件などにこだわるばかり、なかなか仕事を再開できないのも極端なケースですが、大事なお子さんを養っているお父さんお母さんにとって、成人できるまでの見通しが立てるような働き方は必要です。

この制度は、生活の一番の要である住居を確保することで、じっくりと求職活動をすることができます。
現在支給対象者から外れているお父さんお母さんも、もしもの時の為に、こんな支援があるということを是非知っておいてください。
そして、現在まさに支給対象者に当てはまるかもしれないというお父さんお母さん。
「違っていたら、聞いてみるのが恥ずかしい……」と一人で思い悩まずに、まずは相談窓口へ。
まだまだ新しい制度ですので、専用窓口が分からない方も多いと思います。
まずはお住まいの役所の代表番号にかけて「住居確保給付金」の担当の方につないでもらいましょう。


大切なお子さんとの自立した生計の立て方、そして安定した生活への第一歩へ!
ありがたい支援があることを知ることは一つの安心材料です。

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