養育費について【よくある相談】

  • 2018/4/10
養育費についてよくある相談内容

目次
■離婚した後でも、養育費を請求できるの?
■過去の養育費をさかのぼって請求できるの?
■親権がない、もしくは子どもと同居していなくても養育費を支払わなくてはいけないの?
■養育費をもらうなら、面会交流は必ずさせるべき?
■経済状況が変わった場合、養育費の減額や増額されることはあるの?
■元配偶者や養育者が再婚した場合、養育費はどうなるの?
■元配偶者や養育者が外国人の場合、養育費の義務は発生するの?
■公的手当は所得に入るの?それとも別枠?(養育費の算出する時の所得を提出する場合)
■養育費を一括で請求してもいいの?
■養育費はいつまで払ってもらうのが一般的?
■公正証書でどこまで細かく取り決めをしておくべき?
■公正証書は離婚何年後でも作成可能?
■養育費を払ってくれている元配偶者が、万が一亡くなった場合は?
■元配偶者の赤ちゃんがおなかの中にいる場合でも、養育費を請求できるの?
■養育費は所得に含まれる?

 

Q. 離婚した後でも、養育費を請求できるの?
A. 養育費の請求はできます。

協議離婚のときに、養育費の取り決めをきちんとしないまま離婚したケースはもちろん、「養育費はいらない」と言って離婚したケースでも請求することはできます。
ただ、相手の心情的な面で見た場合、すでに養育費は払わなくて良いものとして、生活設計を立てている場合など、話し合いが難航することも。
話し合いの見込みがつかないと思ったら、早めに調停を申し立てることをおすすめします。
(申し立てた時点から、相手の支払い義務が発生するからです。詳しくはこちらへ→■過去の養育費をさかのぼって請求できるの?

Q. 過去の養育費をさかのぼって請求できるの?
A. 養育費の請求をしたと明確に分かる方法であればOK

養育費の支払い義務は、「明確に分かる形で調停の申し立てで養育費の請求をした時点」から発生します。メールや電話での請求は、正式なものとはみなされません。記録に残り、養育費の請求をしたと明確に分かるのは、こんな方法があげられます。
・内容証明郵便などで、相手に養育費の請求をする。
・養育費請求の調停申し立てをする。
参考サイト:
https://www.fukuoka-ricon-law.jp/50003/

Q. 親権がない、もしくは子どもと同居していなくても養育費を支払わなくてはいけないの?
A. 義務が無くなることはありません。

養育費の支払い、子どもが健やかに成長するため、夫婦二人に発生する当然の責任とされています。
お互いの経済状況を考慮しながらではありますが、
「別れてから一度も会っていない」
「親権が無いから払う気になれない」
という個人的な感情で、この義務がなくなるということはありません。

Q. 養育費をもらうなら、面会交流は必ずさせるべき?
A. 面会交流と養育費は別の問題になります。

面会交流をしなくても養育費を請求することはできます。さまざまな理由から、子どもに合わせるのが心配であったり、難しい場合もあるでしょう。
しかし、面会交流のおかげで、元配偶者は子供の成長を実感し、養育費の支払いに協力的な心境になることは事実です。直接合わせられない場合でも、写真を見せたり、子どもの近況を教えたりという姿勢を見せる等、面会交流に準するような、何らかのはたらきかけをするのも一つの手です。
逆に養育費を払わなくてはいけない人、つまり支払い義務者が「子どもに合わせてもらえないから、養育費を払わない」という要求は通らないということが言えます。

Q. 経済状況が変わった場合、養育費の減額や増額されることはあるの?
A. 子どもの進学や、療養などの増額については話し合いが可能です。

養育費の取り決めをした時とは大きく状況が変わった時は、「事情の変更」として改めて決め治すことができます。
ただ、相手の収入が増えていない限り、現実的に大きな増額に応じることは難しいと考えられます。進学の入学金や入院費などの一時的な費用は「特別経費」として、話し合いが可能です。

A. 相手の病気や失職など、減額に応じなくてはいけない場合があります。

養育費の取り決めをした時とは大きく状況が変わった時は、「事情の変更」として改めて決め治すことができます。
ただ、相手の収入が増えていない限り、現実的に大きな増額に応じることは難しいと考えられます。進学の入学金や入院費などの一時的な費用は「特別経費」として、話し合いが可能です。

Q. 元配偶者や養育者が再婚した場合、養育費はどうなるの?
A. 支払い義務者の再婚のケース

養育費の支払い義務がなくなることはありません。元配偶者が再婚しても、子どもの親であることにかわりはないからです。しかし、養育費の取り決めをした時とは大きく状況が変わった時は、改めて話し合いをする必要があります。話し合いの見込みがつかず、振り込みがとどこおる、一方的に減額されるなどがあった場合は、調停の申し立てをしましょう。

A. 受給権利者の再婚のケース

(1)再婚相手と子どもが養子縁組をした場合
子どもの扶養義務は、元配偶者から再婚相手が優先されるので、養育費の減額の大きな理由になります。
(2)再婚相手と子どもが養子縁組をしていない場合
再婚相手に扶養義務は発生しません。しかし、一緒に住んでいる場合など、再婚相手にも事実上扶養されているとみなされます。したがって、養育費の減額の理由とみなされることがあります。

Q. 元配偶者や養育者が外国人の場合、養育費の義務は発生するの?
A. 養育費の取り決めは、子どもが住んでいる国の法律です。

養育費を求める者、すなわち子どもが住んでいる国の法律によって決められることになります。子どもが日本に住んでいる場合は、日本の法律を適用できると言えます。

A. 裁判所は子供の住んでいる国での手続きが認められることがあります。

元配偶者が外国に住んでいる場合、養育費については子供の住んでいる国での手続きが認められる場合があります。外国の裁判所まで出頭することが難しい場合は、日本の裁判所で申し立てができないかを、裁判所に相談することをおすすめします。

公的手当は所得に入るの?それとも別枠?

(養育費の算出する時の所得を提出する場合)
調停や協議離婚などで、養育費算出表などを使って支払金額を決める時、お互いの所得を提出しなくてはいけません。
その時に、公的手当を受給している場合は、所得として計上されるかを見て行きましょう。

Q. 児童手当は所得とみなされて、その分養育費を減らされる?
A. 過去の裁判では、児童手当は所得とはみなされませんでした。

児童手当が所得に入るかどうかは、養育費の取り決めをする際によく論争になるテーマです。
「児童手当が毎月数万ずつもらえるんだから、その分養育費を減らしても良いのでは」と、元配偶者が主張をすることがあるでしょう。
過去の裁判では、児童手当は所得としてみなさないという判決が出ています。
(平成24年以前は「こども手当」という名称でした。一人親家庭のための手当の「児童扶養手当」とは異なります)
“子ども手当というのは、社会全体で子育てを応援するものなのだから、養育費のような夫婦間の問題とは次元が違うので一緒くたに考えるべきではない、ということのようです。”
引用:
http://iryubun-bengoshi.jp/476

Q. 養育費を一括で請求してもいいの?
A. 養育費は月払いが原則です。

協議離婚や調停の話し合いの中で夫婦の合意があれば、一括の支払いが認められるケースもあります。
しかし、養育費とは、本来は子供の養育として毎月発生する費用に充てるものと考えられています。毎月の支出を大きくこえてしまうと、本来の趣旨とは違ったものになってしまいます。また、収益が発生してしまう可能性もあります。
例えば預貯金をしたり、学資保険の積み立て、土地や住宅の購入。そして極端なケースでは、株などの投資などにまわしてしまうことが考えられます。
“法第21条の3第1項の規定により生活費又は教育費に充てるためのものとして贈与税の課税価格に算入しない財産は、生活費又は教育費として必要な都度直接これらの用に充てるために贈与によって取得した財産をいうものとする。したがって、生活費又は教育費の名義で取得した財産を預貯金した場合又は株式の買入代金若しくは家屋の買入代金に充当したような場合における当該預貯金又は買入代金等の金額は、通常必要と認められるもの以外のものとして取り扱うものとする。(相続税基本通達21‐3の5)”
出典元:
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/02/10.htm#a-2136
一括の支払い金額や夫婦の経済状況により変わってきますが、国税庁の解釈によっては、贈与税が発生する可能性もあります。
http://mbp-hiroshima.com/keiso-law/column/10106/
1年間で110万円以上が課税対象となって、贈与税の対象になる場合があります。しかし、それはそもそも養育費を一括で請求する場合は、子どもが成人するまでにかかる費用を確保したいという切実な受給義務者の思いが背景にあることがほとんどです。
例えば、元配偶者に経済的DVや、ギャンブル、借金グセがある等、金銭的に信用ができない場合ですね。相手方が毎月決められた額の養育費を成人まで支払うという確証がなく、子どもが自立するまで月払いで受け取る総額よりも少なくなっても良いから、確保したいという理由などの場合は、その金額にもよりますが課税対象にならない場合があります。
その夫婦のケースによってさまざまです。詳しくは、税務署や弁護士などの相談窓口に
相談するのも良いでしょう。その際には、夫婦の預貯金や不動産などを把握しておき、詳しくメモをしておくことをお勧めします。

※元配偶者に預貯金があり、どうしても一括で受け取っておきたい。でも、贈与税が心配……そんな人には、「養育信託」に預けるという手段もあります。
参考サイト:
http://www.kouseishousho.jp/r-youikuhi.html

Q. 養育費はいつまで払ってもらうのが一般的?
A. 養育費は成人まで、つまり20歳までと考えられています。

大学進学や病気により自立ができない子どもについては、20歳を過ぎての養育費の受け取りが認められることがあります。
大学卒業までの満22歳まで認められる場合は、このような条件の時です。
子どもは両親と同レベルの学歴や生活レベルをさせるべきだと考えられているからです。
・子どもが大学進学できるだけの学力がある。
・親の学歴が大卒以上である。
・学費を支払える経済力がある。
また、逆に子供が高校を卒業した後、就職した場合は満18歳までの支払いとなるケースもあります。
参考サイト:
https://www.chabadeerfield.com/money/youikuhi/yikterm.html

Q. 公正証書でどこまで細かく取り決めをしておくべき?
A. 元配偶者の合意があってのもの。自分の落としどころをはっきりとさせてから、プロに相談する。

せっかく公正証書を作るのだから、万が一の場合も含め、細かく取り決めをしたいものですね。しかし、素人判断では、いざ原文ができたと思っても、さまざまな抜け道があったりと、万全ではありません。また、元配偶者との合意があっての公正証書です。事細かく自分の要求だけを書かれたものに、首を縦に振るかというと、心情的に難しいものを感じるでしょう。
自分がこれだけは譲れないという落としどころをメモ書きにして、公証人、行政書士、司法書士、弁護士などのプロに相談するのも一つの方法です。
また元配偶者があまり詳しい取り決めに応じてくれない様でしたら、調停を申し立て、間に調停委員さんに入ってもらうのも一つの方法です。元配偶者にも公平だと思われる内容で取り決めができることで、2人だけの話し合いよりもスムーズに進むことが多いと言えます。

Q. 公正証書は離婚何年後でも作成可能?
A. 離婚前に作ることが多いですが、養育費については時効がありません。

“元配偶者に対して、先ず養育費の請求をします。なお、養育費は時効がないので、離婚後何年たっても請求できますし、また離婚時に仮に「要らない」などと言っていても請求できます。”
引用:
http://www.k-eb.com/minnjitop.htm

公正証書自体は、離婚何年後でも作成することが可能です。
しかし、養育費の他に、財産分与、離婚時年金分割、慰謝料についての取り決めも含める場合は下記のように、短期間で時効になります。さらに、離婚後何年もたってから、元配偶者同士が公正証書を作りに行くのを了承してくれるかというと、あまり現実的ではありません。できるだけ早く取り決めをして、公正証書に残しましょう。
・財産分与、離婚時年金分割の請求は、離婚の成立した日から2年以内
・元配偶者の浮気などによる慰謝料の請求は、離婚の成立した日から3年以内
参考サイト:
http://www.rikon119.jp/14038588172359

Q. 養育費を払ってくれている元配偶者が、万が一亡くなった場合は?

元配偶者が不慮の事故などでなくなった場合、養育費の支払い義務が無くなります。
同時に、連帯保証人の支払い義務も無くなります。
それを防ぐための方法や、養育費の代わりのものを請求できるかなど、いくつかあげてみましょう。

A. 前もってできること

万が一のために、元配偶者の保険金受取人を、子どもの名義に変更しておく。
離婚後、元配偶者が再婚した場合、再婚相手の名義にすることや、満期時に元配偶者が他の用途に使ってしまうことが考えられます。
もしもの為に、公正証書に残しておくと良いでしょう。

A. 養育費の代わりに請求できるもの

遺族年金を請求する。
元配偶者が厚生年金に入っていた場合、遺族厚生年金が支給されます。
もし元配偶者が再婚していた場合、配偶者への支払いとなりますが、実子にも受給できる権利があります。

「受給できる条件は?」
元配偶者の死亡当時、同じ生計をともにしていたということが分かることが条件です。毎月継続的に養育費を受け取っていた場合などですね。

「通帳の明細があれば大丈夫?」
養育費を受け取る口座を、自分名義にしているお母さん、お母さんも多いのではないでしょうか。その場合、元配偶者と子どもの生計は別だとみなされてしまいます。養育費の取り決めの時に、子ども名義の通帳で振り込んでもらえるようにしておくと良いでしょう。

「児童扶養手当ももらっている場合は?」
遺族年金を受給する間は児童扶養手当は受給できません。
詳しくは、お近くの役所に問い合わせしましょう。
http://www.youikuhi-web.com/expense/death/
http://www.df-wings.jp/こんなときどうする?/養育費を支払う側が死亡した場合、その後の養育/
http://www.rikon-solution.net/insurance.html

Q. 元配偶者の赤ちゃんがおなかの中にいる場合でも、養育費を請求できるの?
A. 300日をラインとした出産した時期により、変わります。

離婚してから(離婚届が受理された日から)300日前に出産したか、300日以降かによって、養育費を請求できるかどうかが決まります。
それでは詳しく見て行きましょう。

・出産日が離婚届が受理されて300日以前の場合
養育費を請求できます。
親権と監護権は母親にわたりますが、子どもは父親が確定され「嫡出子」となり、、父親の戸籍に入るからです。
父親に扶養義務が発生するということですね。

・出産日が離婚届が受理されて300日以降の場合
明らかに子供の父親が元配偶者であっても、離婚の話し合いが長引く等、出産が離婚届け提出後300日以降になってしまうケースがあります。
この場合、ダイレクトに養育費を請求することができません。
親権と監護権は母親にわたりますが、子どもは父親が確定できない「非嫡出子」となり、母親の戸籍に入るからです。
父親に扶養義務が発生しないので、まず子どもの認知→養育費請求となります。
http://maternityyoga-lab.com/archives/1307
https://www.alg-plus.com/rikon/ninshin/

Q. 養育費は所得に含まれる?
A. 養育費は基本的に、税法上は非課税になります。

公的手当を貰う場合は、所得としてみなされ、所得制限に影響する可能性があります。児童扶養手当がそうです。それ以外でも、他に何らかの手当を受給している人は、一度役所に相談することをお勧めします。

・所得税や住民税に影響するの?
例えば個人事業主などで、確定申告をする場合、養育費は所得として計上されません。

・贈与税はかかるの?
月々の支払いという形ではなく、一括して子ども名義の通帳に振り込まれる場合などは、贈与税がかかる場合があります。
しかし、ケースによって解釈はさまざまです。
(→■養育費を一括で請求してもいいの?
https://www.fukuoka-ricon-law.jp/70006/1003-6/

・児童扶養手当を受給する場合は?
所得制限があるので、養育費の8割が所得になります。

 

 
   

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